依頼先の決め手
建築に少なからず知識があったため、家づくりはデザインだけでなく、躯体の強靭さが重要と考えていました。古河林業は構造材が4寸と骨太で、すべてが国産材というのが魅力でした。特に興味深かったのは自社林での「大黒柱ツアー」。家族全員で参加し、大黒柱を選び、伐採させてもらいました。木の出所がわかっているということは今日では稀有なことで、愛着の深さが違うのは当然です。これから30年、50年と家族の成長を見守ってほしいと思っています。外壁のレッドシダーについては、施工の途中でお願いしたのですが、嫌な顔一つせずに対応してくれました。「リビングに収納が欲しい」と何気なく告げると、窯変タイルをデザイン的に施した収納壁を提案してくれたのも嬉しかったですね。
完成した家の特徴
玄関ポーチやバルコニーに施されたレッドシダーが、シンプルで無機質なファサードにナチュラルな力強さをもたらしている。特徴的なのは水平・垂直ラインによって構成されるデザインの美しさであり、深い軒の出が建物に陰影のある表情を醸し出していること。広々としたバルコニーが暮らしにプラスαの豊かさを与える。内部空間は国産無垢材とナチュラルな素材がふんだんに用いられ、心地よさを実現している。
東京都在住/Oさんのお住まい
《延床面積》136.11㎡(41.00坪)
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O様邸の設計の特色はゾーニングが明確であること。写真の左側が居住空間で壁の背後が通路と水回りに分離されている。収納を目的とした壁だがタイルを施すことでデザイン性を感じさせる。
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ダイニングからリビング方向を眺める。8寸の大黒柱は家族で古河林業の自社林に出向き、選んで伐採したもの。「子どもたちの木への愛着が違います」とO様は嬉しそう。大黒柱の横のカウンターはパソコンや子どもの勉強に使われる。
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対面式キッチンとダイニングテーブルはほどよい距離感で、子どもたちも家事の手伝いをしやすい設計。キッチンはダイニング側にも収納を設け、使い勝手を考えられている。「キッチンから水回りが近く、家事動線も最高」と奥様。
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和室はO様がどうしても実現したかった空間。琉球畳や黒で仕上げた杉の天井など、施主の要望をくみ取った古河林業からの提案だという。必見は障子の太い桟で、これには職人の手技が光る。格調高い空間だ。
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キッチンのバックヤードは洗面室や浴室になっていて、忙しいママにとっては家事動線の点で申し分ない設計だ。洗面室と浴室はスタイリッシュな設備やデザインで、ホテルライクな時間を楽しめる。
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玄関ポーチは建物の奥に配して、彫りの深いファサードを印象づけている。壁や天井部分にはレッドシダーを用い、木の家をアピールしている。張り出したバルコニーのお陰もあり、雨の日でも濡れることなく出入りできる。