依頼先の決め手
過去の大空間を備えた家から、現在の身の丈に合った空間サイズへと最適化させ、こだわり抜いて考えた“1LDK”の具現化には、オーナーにぴったりと伴走できるハウスメーカーが必要でした。きちんと予算内で、求める暮らしやすさと内外観のデザイン性の高さを両立するために選んだのが、柔軟なプランニングを得意とする「古河林業の家」とそのスタッフでした。
完成した家の特徴
見晴らしの良い敷地に佇むシックな建物は、ゆったりとした1LDKの計画によって驚くほどの収納力を持ちますが、そうした生活感に繋がる要素を一切感じさせない配慮がされています。また、間取りや配色、窓の位置・サイズなどの工夫により、視線を伸びやかに誘導し、建物の中でも外でもオーナーが望む限りの解放感を得ることができます。
神奈川県在住/Aさんのお住まい
《延床面積》98.54㎡(29.73坪)
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大きな屋根付きのアプローチがあり、天候の影響を受けにくい玄関まわり。上がり框の高さは10cmにおさえて、上り下りの負担を小さくしています。一見、収納の無さそうに見える玄関ですが、3帖分あるシューズクロークを備えています。ホールには、旧宅にあったご家族の思い出の品である、建築家ピラネージの銅版画を飾りました。
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ホールで足元を明るくしてくれる地窓は、ロールスクリーンによって光や視線をコントロールできます。やがてシンボルツリーが育てば天然のシェードとなり、その季節に適した光量で照らすでしょう。
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ホールからLDKにかけては、幅が広いブラックウォルナットの床材と漆喰の壁という、上品で落ち着いた取り合わせとなっています。三つ連なった縦すべり出し窓が導く先には、LDKへのガラスドアと水回りへのスライドドアが現れます。ちなみに漆喰には調湿・消臭の機能があり、静電気を帯びず埃を寄せ付けないため、玄関にもぴったりの自然素材です。
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LDKの入口の素敵なガラスドアは、旧宅でオーダーしたお気に入りのものをそのまま持ち込みました。毎日何度も通ることになる一番大事なドアが、これまでの人生の記憶装置にもなっているわけです。
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LDKに入ると、空間がパッと広がって見えます。正方形に近い部屋なのですが、キッチンの配置を工夫してダイニングからリビングへの長いL字型の動線を生み出し、ひとつの部屋でありながらも明確にゾーニングされる仕掛けを施しました。
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ダイニングには、軽やかなホワイトに彩られた勾配天井が5mの高さまで広がっていますが、これとは対照的に、建具に合わせた重厚な色合いの太い梁が絶妙なアクセントとなり、解放感と安定感のバランスを取っています。この勾配天井に設けられた室内窓は東を向いていて、二階の寝室にやわらかな朝日を届けます。
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内装に合わせて提案されたペンダントライトは、和とも洋ともつかぬユニークな世界観を表し、ダイニングをまとめ上げています。階段の下には愛犬のためのスペースも設けました。この内側は意外なほど広く、ペット用品を一式収納できます。
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LDKは回遊できるようになっており、お食事はダイニングへ、お茶はリビングからテラスへと自在な動線を確保しています。キッチンの天板には、上品な佇まいながら耐久性に優れたセラミックトップを採用し、カップボードには間接照明に映えるタイルをあしらって、遊び心を表現しました。
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玄関ホールからまっすぐに庭へ、そして空へと視線が伸びていく間取り。折り上げ天井の梁が、集中線のように機能します。部屋のもう一辺をたっぷりと使ったリビングのサイズは、旧宅から受け継ぐ家具に合わせたものとなっています。
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テラスへ続く掃き出し窓は、全てスライドして外壁に隠れることで大開口を実現しています。建物内部からテラスへはフラットに繋がっているため、拡張されたリビングとしての魅力だけでなく、足元の段差などを気にすることなく安全に食器を運ぶことができるといったメリットもあります。
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2階の寝室へつづく階段の壁も、漆喰仕上げによって穏やかな雰囲気を演出しています。アンティークな風合いのアイアン手摺は、ガラスドアのフレームにテイストが合うように探し出したものです。
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気兼ねなく振る舞うことのできる水回りのデザイン。洗面台(写真・左側)のお洒落な腰壁は、実はトイレ使用時の動作をアシストできる高さに調整されています。ご家族で選んだタイルが、まるでリゾートホテルのように魅了します。