依頼先の決め手
ご友人の新居を手掛けた当社に、真っ先にご相談くださったKさん。具現化したかったのは「インダストリアル」なスタイルにナチュラルな温もりを添えて、昼も夜も”映える“家でした。綿密な打ち合わせを重ねながらこのイメージを共有し、理想以上の仕上がりとなりました。
完成した家の特徴
インダストリアルなデザインの方向性と、そのために厳選された内外装の素材や照明などの機器、そして一日の時間経過による表情の変化をも意識した間取りにより、物語性の高い空間となりました。1階のリビングは南に面していますが、交通量の多い道路からの視線に配慮してあえて窓を設けない代わりに、吹き抜けに大きな採光窓を4枚並べることで充分に明るくなっています。この吹き抜けの窓は、昼に屋内を明るくするだけでなく、夜に屋外から見るとフォトフレームのように際立って建物を飾ります。
埼玉県在住/Kさんのお住まい
《延床面積》107.64㎡(32.5坪)
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既製品のキッチンに造作のダイニングテーブルを組み合わせ、キッチンと同じ素材・厚さ・カラーの板でカップボードを作ることで、すっきりと統一感のある空間になりました。この直線の美しい部屋に、カーテンの優しい曲線がよく似合います。床材は無垢のネシアチークで、この家で多用されているブルーやグレー系の色とマッチしています。
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キッチンの南側には、3枚スライドで大きく開く掃き出し窓があり、第二のダイニングとも呼べるウッドデッキへと繋がっています。2階を南側にオーバーハングさせているので、これが大きな庇がわりになって強すぎる日差しをカットしてくれます。
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コンロとレンジフードはダイニング側から上手に隠され、素材感を主張するキッチン本体や収納も、壁紙と同じくグレー系でまとめたことで綺麗に溶け込んでいます。勝手口のステップは実は収納になっていて、履物を雨などからカバーします。
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キッチンからはリビング・ダイニングだけでなく、その中間地点に設けたワークスペースや、玄関から水回りや階段までの動線も視界におさめることができます。左手には多用途な小部屋があり、収納力にも不足はありません。収納の扉は全て天井の高さに揃えつつ、玄関ホールからのドアだけをあえて低いものにすることで、その特別感と奥行感を演出しています。
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リビングの吹き抜けの採光窓は、2階にサンルームを作れるほどたっぷりの陽光を届けてくれます。この部屋には「大黒柱ツアー」で切った思い出の柱が立ち、「古河林業の家」としてのルーツを示しています。
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吹き抜けからリビングを照らすウォールランプはヴィンテージ感に溢れ、インダストリアルな雰囲気づくりにも大きく貢献しています。
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リビングとダイニングの真ん中に、舞台装置のようにあつらえた時計。窓からの光とキッチンからの音で想像する 「そろそろお茶かな?それともご飯かな?」 という答え合わせも楽しくなります。
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階段室のスライドドアは、冷暖房効率の向上に役立ちます。ここのドアのデザインも他の収納扉と同じ高さ・カラーに揃えることで、閉じてしまえば階段の存在感が希薄となり空間が引き締まります。
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用途の全く異なる部屋であっても、デザインイメージが統一されていることがわかる写真です。ちなみに主寝室(写真の左側)の床は無垢のパイン材で、天井はマホガニーの羽目板になっており、コーブ照明がリラックス空間をそっと明るくします。
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玄関にもアイアンの手すりやレトロな裸電球(だがしかしLED!)を取り付けて、ヴィンテージ感を追求しています。シューズクロークにはブルーのカーテンをかけて、緩くお洒落に仕切りました。磁石がくっつく素材の壁面は、これから便利に楽しく活用されることでしょう。
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天然の無機素材で仕上げられた外壁が、モダンな外観を引き立てています。かなり深みのあるカラーなのですが、素材が光を乱反射させることで柔らかい印象になっています。
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夜になると、外観デザインに建物の中からの光の演出が加わります。マホガニーの天井や、ブラックのシーリングファン&サンルームの室内窓、そして大黒柱までもが照らし出された採光窓が、フォトフレームのように建物を飾るのです。